インド工科大学マドラス校(IIT-M)は4月12日、同大学の研究者がAR/VR(拡張現実/仮想現実)をベースとした農村学校向け教育モデルを開発したことを発表した。
この取り組みは、社会科学、歴史、科学、言語などの科目に関してVR対応の没入型・体験型学習環境を開発することで、より効率的な学習環境を生徒に提供し、キャリアに役立ててもらうことを目標とする。AR/VR技術を用いた教育学ツールを開発することで、農村部の教育に革命を起こし、都市部と農村部の学校や生徒の間のデジタルデバイドを解消できる。CSR補助金という産業界からの資金提供によりプロジェクトが加速し、インド中の学校で実施することが可能となった。
第一歩として、プロジェクト・コーディネーターのメリン・シミ・ラジ(Merin Simi Raj)博士とアビシェック・パルイ(Avishek Parui)博士は、500年にわたる伝統的なアングロ・インディアン共同体の歴史をテーマとした、初のARベースのモバイルアプリ「メモリーバイト」を作成した。
IIT-Mのマヘシュ・パンチャニュラ(Mahesh Panchagnula) 学長は、「このプロジェクトは、インド中の何百万人もの農村部の生徒にとって、学校における学習と教育を再定義する可能性を持っています」と述べ、規模拡大を支援する産業の必要性を強調した。
さらに、パルイ博士は、「これらのプロジェクトは、人文科学、遺産、技術の接点を扱うIIT-M記憶研究センターの研究の一部です。私たちは、学生、研究者、一般市民が利用できるポータブルXR(クロスリアリティー)ツールを通じて、学習者にとって適応的でダイナミック、かつ本物の学習体験に関する研究に取り組んでいます」と述べた。
このプロジェクトは、国連のSDGs(持続可能な開発目標)第4項(すべての国に対して「包括的で公平な質の高い教育を確保し、すべての人の生涯学習の機会を促進する」ことを求めている)の達成にも貢献するものだ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部