インド工科大学マドラス校(IIT-M)は、人工知能(AI)ベースのソリューションの倫理的かつ責任ある開発を保証するための学際的研究センターとして、センターフォーレスポンシブルAI(CeRAI)を設立したことを発表した。5月15日付け。
CeRAIはインドにおけるAIシステムの展開に影響力をもち、責任あるAIの基礎や応用研究のための国内および国際レベルで一流の研究センターとなることを目指し、4月27日にインドの電子・情報技術兼技能開発・起業促進相であるラジーブ・チャンドラセカール(Rajeev Chandrasekhar)氏により正式に設立された。
5月15日には「インドにおける責任あるAI」をテーマに最初のワークショップが開催された。デジタルインディア(Digital India)社のマネージング・ディレクター兼最高経営責任者であるアビシェック・シン(Abhishek Singh)氏は開会セッションで、「AIは私たちの生活の全てにおいて大きな役割を果たしています。社会問題の解決、医療へのアクセスの確保や低価格化、教育の包括化、農業の生産性向上などにAIを使う一方で、政策決定レベルの人々や技術開発の最先端で働く人々がリスクや課題を認識していることが非常に重要です」と述べた。
CeRAIのプラチナコンソーシアムの最初のメンバーとして参加し100万ドルの寄付を行ったグーグル(Google)社のカントリーヘッド兼インド担当副社長のサンジェイ・グプタ(Sanjay Gupta)氏は「インドのデジタルエコシステムがますますAIを活用する中で、私たちが責任あるAI推進を始めた2018年から開発してきたベストプラクティスを共有することを約束します」と語っている。CeRAIのヘッドであるバララマン・ラビンドラン(Balaraman Ravindran)教授は「AIモデルとその予測が、ヘルスケア、製造、銀行・融資など、さまざまな重要分野で展開される場合、説明と解釈が可能であることが重要です」と述べた。
CeRAIはインパクトがある学術誌への研究論文の掲載、白書、特許など質の高い研究成果を生み出すことや、責任あるAIの領域に関して、キュレーションされたデータセット、ソフトウェア、ツールキットなどの技術リソースの作成することにも取り組んでいく。また、政策立案者向けに分野別の勧告やガイドラインも提供予定だ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部