2023年08月
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AIでがん患者を臨床試験にマッチング インド

インドの医療企業オンコショット・インディア(Oncoshot India)社は、人工知能(AI)ベースのプログラムを活用することにより、インドのがん患者を臨床試験(治験)にマッチングさせることを計画している。インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiが6月23日に伝えた。

多くの患者にとって新しい治療法に関する臨床試験に参加することは、信頼性の問題から難しい。諸外国では重篤な段階にある患者が臨床試験にアクセスすることを支援する体制がある。インドでは人口増加とともに、がんの患者数も増加しており、今後新たに200万人のがん患者が発見されると推定され、がん患者の人口が最も多い国の1つとなっている。

オンコショット・インディア社はインド国内の5つの病院と提携し、約2万5000人のがん患者からデータを収集し、データベースを作成した。インドのがん患者にとって臨床試験をより利用しやすいものにするために、同社のAIベースのプログラムによるマッチングを計画している。このプログラムにより、製薬会社による地元での臨床試験の実施検討の促進につながることと期待されている。

同社のニレシュ・アトレ(Nilesh Atre)医師は、「今後半年で、さらに多くの病院と提携し、患者のデータベースを10万件に増やす予定です」と述べた。NGOのVケア(V care)に所属するヴァンダナ・グプタ(Vandana Gupta)氏は「臨床試験はがん患者にとってとても重要なものです。試験を開始する前にその利点や副作用についても含む詳細な情報を知ってもらうべきです」と語る。オンコショット・インディア社のような医療会社と病院との提携は、重要な情報の啓蒙に繋がり、がん患者の臨床試験に対する認識不足を克服することに役立つと期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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