2023年09月
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重力波から宇宙の膨張速度を測定する方法を考案 インド

インドのベンガルールにある国際理論科学センター(ICTS)の研究チームが、重力波の観測結果から遠距離での宇宙の膨張を捉える方法を開発したことを発表した。科学誌nature indiaが7月31日に伝えた。研究成果は学術誌PHYSICAL REVIEW LETTERSに掲載された。

2つのブラックホールが合体するとき、時空のさざ波である重力波が発生する。重力波は発生源と観測者の間に銀河が存在する場合、経路が曲げられる。これは重力レンズ効果として知られており、この曲げ効果が十分に強い場合、1つの発生源からの重力波が複数の経路を通って地球に到達し、観測者は同じ重力波の複数のコピーを捉えることができる。

ICTSの研究チームは、同じ重力波の異なるコピー間の到着時間のギャップは宇宙膨張の影響を含んでいると語る。遠距離での宇宙の膨張を捉える方法を開発するために、研究者らは、連星ブラックホールの合体を重力波の発生源として、銀河や銀河団の集団による重力レンズのシミュレーションを行った。これにより、レンズ状の重力波間の時間遅延の予想分布に関する理論モデルを作ることができた。さらに、このモデルを観測結果と比較するために使用できる統計手法を用いている。

研究者らは、この方法によりほかの測定法では調べられていない宇宙膨張のエポックに光を当てるだろうと話した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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