2023年10月
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光学活性で柔軟な生分解性ポリマーとナノ複合フィルムを開発 インド

インド科学技術省(DST)傘下の研究機関で北東部アッサム州にあるグワハーティー科学技術高等研究所(Institute of Advanced Study in Science and Technology : IASST)が、さまざまな熱処理の下で、原位置(in-stu) CuOナノ粒子形成の前駆体として銅塩を使用して簡単な溶液キャスト技術(高分子材料を有機溶媒で溶かした溶液を型に流し乾燥させて製品を取り出す方法)を使うことで、生分解性のPVA-CuOナノ複合フィルムを開発した。また、フレキシブル・ディスプレイやフレキシブル有機LEDなどの伸縮性光学デバイスとして使用できる優れた機械的特性を備えた光学活性生分解性ナノ複合フィルムも開発した。9月5日付け発表。

ポリマーは私たちの日常生活に欠かせないものだが、さまざまな工学用途では、柔軟性が高く光学活性なポリマーが必要である。これまで、適切なナノ材料を使用してポリマー材料の特性を改善するために、数多くの方法論が採用されてきた。ナノ材料は、ポリマーの固有の特性をそのままに保ちながら、ポリマーの特性を強化することが知られている。また、ポリビニルアルコール (PVA) は、良好なフィルム形成性と優れた機械的特性を備え、最も広く研究されている合成生分解性ポリマーの1つである。さらに、その光学的および機械的特性は、適切なナノ材料を組み込むことによって調整が可能である。

この研究では、さまざまな熱処理下でのナノコンポジットフィルムの優れた光学的、機械的、抗菌的特性が証明されというもの。また、熱処理中のポリマーマトリックス内部でのCuOナノ粒子の形成は、さまざまな分光学的および顕微鏡的手法によって確認される。機械的特性の評価により、塩化銅を添加した状態で39 MPaもの高い引張強度と169%の柔軟性を備えた非常に柔軟で堅牢なナノコンポジットフィルムの形成が確認されたというものだ。

簡単な溶液キャスティング技術と、それに続く熱処理方法によって製造されるPVA-CuOナノ複合フィルムは、伸縮可能な光学デバイスとして使用できるというもので、最近『Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects』としてジャーナルに掲載された。

(出典:PIB)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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