2023年10月
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先天性白内障による盲目の少年、手術で視力を部分的回復 インド

インド工科大学デリー校(IIT-D)の研究者を含む研究チームにより、先天性白内障による盲目の少年の視力が手術で部分的に回復したことが発表された。科学誌nature indiaが9月4日に伝え、研究成果は学術誌PNASに掲載された。

視覚発達の敏感な時期は5~7歳であるため、従来の常識では、思春期に手術を行っても先天性白内障には限られた効果しか得られないとされてきた。そこで、研究チームは7~16歳の白内障患者19人を追跡調査した。その結果、手術によって視覚系の初期部分が改善されていることがわかった。この改善の大部分は術後数日間に起こった。さらに、研究チームは患者が顔の写真とそうでない刺激とを区別できるようになったことも発見した。また、若年で手術を受けた患者ほど、手術成績が向上した。

研究者らは、視覚知覚の行動学的改善と、脳の2つの後期視覚経路にある白質(軸索などの神経線維からできている)の可塑性など、根底にある神経解剖学的変化との関係性に言及した。観察されたこれらの構造的変化は安定したものであり、軸索を包むミエリンの再形成や、2つのニューロン間の結合であるシナプスの成長などのメカニズムから生じたものであるとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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