インドのトランスレーショナル健康科学・技術研究所(THSTI)の研究チームが、いくつかの獲得型抗生物質耐性遺伝子(ARG)とARGの急速な拡散に重要な役割を果たす、さまざまな移動性遺伝要素(MGE)を同定した。科学誌nature indiaが9月9日に伝えた。
ババトシュ・ダス(Bhabatosh Das)氏率いる研究チームは、腸管、尿路、呼吸器に感染し、敗血症を引き起こす可能性のある大腸菌、肺炎桿菌(かんきん)、アシネトバクター・バウマンニ、緑膿菌、サルモネラ菌の全ゲノム配列を決定し、病原体特異的で地域特異的な特徴を示すいくつかのARGを発見した。さらに、細菌種間でのARGの急速な拡散に重要な役割を果たす、さまざまなMGEも同定した。MGEはゲノム内や細胞間を移動するDNAの一種である。
研究者らは、一般的に使用されている17種類の抗生物質に対して、どの病原体が感受性あるいは耐性を示すかのテストも行った。その結果、サルモネラ・チフスムリウムはアミノグリコシド系とフルオロキノロン系を除くほとんどの抗生物質に感受性を示した。一方で大腸菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニは複数の抗生物質に耐性を示す多剤耐性菌であった。
これらの知識は、臨床医が敗血症などの感染症の予後を改善するために適切な薬剤の組み合わせを選択するのに役立つだろうと研究チームは述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部