インドのチャッティースガル州では、ゾウの襲撃を抑えるため、人工知能(AI)を活用したゾウ追跡システム「Chhattisgarh Elephant Tracking and Alert」アプリを導入した。これにより、人間とゾウの衝突やゾウに襲撃される事件が大幅に減少した。 インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiが10月11日付で伝えた。
このアプリを導入したウダンティ・シタナディ・トラ保護区のヴァルン・ジャイン(Varun Jain)副所長は、「ゾウによる事故はそれまで頻繁に発生し、死傷者も多い状況でした。過去3年間で230人以上が亡くなり、過去5年間で75頭のゾウも死亡しました。そのため、ゾウの群れの動きや存在を追跡し、地元の人々に危険を知らせることが必要な状況でした」と振り返る。
このシステムは試験的なプロジェクトとして開始され、現在、州内の多くの森林部門でも採用されている。報告によると、110の村の2,500人の地元民がこのアプリに登録した。ウダンティ・シタナディ・トラ保護区周辺ではこのアプリにより、過去7カ月間、人間とゾウの衝突や襲撃の事件が大幅に減少した。
このシステムにはAIが搭載されており、パトロールチームとも連動。人が徒歩やジープで森に入り、ゾウの移動に関する直接的・間接的な証拠を集める。ゾウの存在や移動に関する情報が「ゾウ追跡システム」を通して、登録者のアプリに配信される。さらにAIが、半径10km以内の近接した村を検出し、村人の携帯電話に電話、音声メッセージ、WhatsAppメッセージとしてアラートを送信する。
このアプリはゾウの群れがどの道を行進しているのか、どの森林地帯を好むのか、移動のタイミングはいつか、などといったゾウの群れの情報を管理するのに役立っている。さらに、ヒョウ、野生の水牛、クマなど、他の野生動物の存在に関するアラートを送信するのにも寄与している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部