インド科学教育研究大学プネー校(IISER-P)の研究チームは、有毒金属を含まず、生きた細胞のイメージングや固体ディスプレイデバイスの製造に利用できる量子ドットを開発した。科学誌nature indiaが11月6日に伝え、研究成果は学術誌Chemical Scienceに掲載された。
既存の量子ドットのほとんどは、カドミウムや鉛などの有毒金属を含んでいるため、電子機器や医療機器への使用が制限されている。プラモッド・P・ピライ(Pramod P. Pillai)氏が率いる研究チームは、インジウム、リン、および硫黄前駆体を組み合わせて、より安全な量子ドットを作製した。
この量子ドットは、固体状態や溶液中に溶けた状態で青色光を放出できる特徴がある。各ドットは、リン化インジウムのコアを硫化亜鉛の薄いシェルが取り囲んだ構造をしている。このシェルには3つの単分子膜があり、青色光は紫外線に10時間暴露した後も劣化しなかった。
さらに特定のヒト細胞のほぼ95%が高濃度の量子ドットへの暴露に耐えたことから、量子ドットの生体適合性が実証されている。また、生体細胞の内部で青く発光することが確認できた。研究者らは、この量子ドットの発光について、市販のイメージング剤の発光を妨げないことから、マルチカラーバイオイメージング研究にも応用できるとしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部