2024年02月
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レーザービームと微小なゲル状ビーズを使った新型マイクロヒートエンジン開発 インド

インド理科大学院(IISc)及びインドのジャワハルラール・ネルー先端科学研究所(JNCASR)の研究チームは、人間の髪の毛の100分の1のサイズの粒子1個で動作し、熱力学の原則において最大の効率で最大の出力を生み出す新しいマイクロヒートエンジンを開発したと発表した。科学誌nature indiaが1月1日に報告した。研究成果は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

従来のヒートエンジンは、ピストンを特定の方向に移動させ、それを元の位置に戻すことを通じて、エネルギーを運動に変換する。そして、熱エネルギーを運動に変換するエンジンの効率には、カルノー限界という制限があると考えられている。

従来のヒートエンジンを微小なスケールで模倣するために、研究チームはレーザービームを使用して小さなゲル状のコロイドビーズを移動させる機構を構築し、急速にレーザービームの切り替えが可能な電場を用いることで、マイクロヒートエンジンを2つの状態間で高速にサイクルさせた。これらの条件下では、熱の散逸が著しく減少し、エンジンの効率はカルノー限界の95%にまで高めることができた。

論文の筆頭著者のスディッシュ・クリシュナムルシー(Sudeesh Krishnamurthy)氏は、「このような熱散逸の低減により、高効率で動作し、高速で大きな出力を生み出すことができます。この発明により、よりエネルギー効率の高いデバイスの開発に向けた可能性が広がります」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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