2024年02月
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新型コロナウイルスの将来の変異株にも有効、耐熱性ワクチン候補設計に成功 インド

インド理科大学院(IISc)は1月10日、同大学の分子生物物理学ユニット(MBU)のラガヴァン・ヴァラダラジャン(Raghavan Varadarajan)教授らの研究チームが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン候補として製造可能な合成抗原の設計に成功したと発表した。研究成果はウイルス学術誌npj Vaccines誌に掲載された。

このワクチン候補は、現在分かっている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のすべての株に対して有効であり、将来の変異株にも迅速に適応できることを示した。 研究チームは、SARS-CoV-2のさまざまな株(現在および将来の変異株)に対して防御可能な耐熱性ワクチンの開発に取り組んできた。

現在のワクチンは、ほとんどのSARS-CoV-2株に対して有効であることが証明されているが、ウイルスの急速な変異のため、その有効性は低下している。ウイルスに含まれる様々なタンパク質を分析した結果、新たなワクチン候補の設計のため、研究者らはSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の2つの部分(S2サブユニットと受容体結合ドメイン(RBD))に着目し、これら2つの構成要素を組み合わせてRS2と呼ばれるハイブリッドタンパク質を作り出した。

このRS2抗原は、発現レベルが高いことから大量生産できる可能性が高く、免疫反応が既存のワクチンと比べ高いことが分かった。さらに、冷蔵保存を必要とせずに室温で1カ月間保存することができる。これにより、ワクチン候補の流通と保管がより経済的になると期待される。

研究チームによると、ワクチン候補は、出現するかもしれないSARS-CoV-2の新しい変異型のRBD領域を組み入れるように調整することができるという。高い発現レベルと室温での安定性により、生産と流通のコストを大幅に削減できるため、COVID-19対策に適している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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