インド工科大学マドラス校(IIT-M)は1月23日、同大の研究チームが、データセンターで利用することを想定し、冷却性能を高めた一体型フラットサーモサイフォンヒートシンク(IFTHS)を開発したと発表した。
コンピューターグラフィックは、この20年間確実に進化してきた。これにより、例えば私たちのゲーム体験は、より没入感のあるリアルなものになっている。コンピューターグラフィックは、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)が重要な役割を果たしている。GPUは、ゲームだけでなく、機械学習、コンテンツ制作、ビデオ編集、さらにはニューラルネットワークのトレーニングにも活用されている。一方で、GPUの発熱は技術的な課題であり、そこから発生する大きな熱はコンピューターの性能に影響するため、避けなければならない。データセンターに置かれている多数のGPUやCPU(中央演算処理装置)、その他の電子部品からは多くの熱が発生する。
現在、データセンターで使用される総電力の40%が冷却のために費やされている。エネルギーを節約するため、データセンターの冷却システムの効率を高めることは課題であるデータセンターの冷却には、ルームレベル、ラックレベル、チップレベルの3つの方法があるが、チップレベルの冷却は他の2つに比べて、熱効率が高く放熱経路も短いため有利である。サーモサイフォンなどの相変化熱伝達を利用し、チップを間接的に冷却することは、将来性や費用対効果の観点から好ましい方法として考えられている。
今回、機械工学科のプラヴィーン・ダナラコタ(Praveen Dhanalakota)氏、ヘマンス・ディリープ(Hemanth Dileep)氏、ラックスマン・クマール・マラ(Laxman Kumar Malla)氏、パラブ・シンハ・マハパトラ(Pallab Sinha Mahapatra)教授、アルヴィンド・パッタマッタ(Arvind Pattamatta)教授らが開発したIFTHSは、中空のフィンを内蔵したコンデンサーを持ち、そのフィンの内と外で凝縮と対流冷却を行い、優れた性能を発揮した。今後、IFTHSは、エネルギー集約型のデータセンターにおいて、エネルギー効率の高いチップレベルの熱管理に貢献するだろう。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部