米国シンクタンク「カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)」のインドの政策シンクタンク、カーネギー・インディア(Carnegie India)は2月22日、インドの人工知能(AI)国家戦略にとっての重要な要素を紹介し、戦略の推進にあたってはイノベーション促進とリスク軽減との微妙なバランス取りが重要との論文を公開した。
ここ数年、インド政府はAIの社会福祉への応用を積極的に奨励している。また、デジタル公共インフラ(digital public infrastructure:DPI)を活用した金融包摂の促進をはじめ、テクノロジーを利用して社会に大規模なインパクトをもたらすというインドのモデルは世界の注目を集めている。
同論文は、インドの国家AI戦略における重要な要素として、以下のようにデータとコンピューティングパワー、モデルの3つを示し、課題などを挙げた。
AI主導のイノベーションに注目が集まる一方、インドの政策当局は、AIがもたらすリスクにも配慮し、公平性や説明責任、透明性、プライバシー、知的財産、信頼できる責任あるAIの開発に向けたさらなる取り組みの必要性を支持している。
しかし同論文は、インドのAI規制アプローチはまだ不十分であると指摘。リスクと安全性という観点からAIガバナンスに対して全体的なアプローチを採用するとともに、AIシステムに関係する新たな規制問題に対処するための明確な戦略を策定することを提唱した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部