インド政府首席科学顧問室(Office of the Principal Scientific Advisor(PSA))は4月13日、世界量子デーを4月14日に迎えるにあたり、インドが量子科学技術のさまざまな分野でグローバルリーダーになることを目指すと発表した。
原子や素粒子を対象とした研究である量子力学は、今や工学の領域にまで発展し、斬新で多様な応用へと広がっている。世界中の研究者が量子力学の原理を、LEDやレーザー、全地球測位システムに使われる超精密原子時計などの技術を開発するために利用する。さらに現在では、量子コンピューティングや量子通信、量子センシングのアプリケーション開発のために、量子システムの制御と操作に注目が集まっている。
世界量子デーは、2022年に量子の科学と技術に関する世界の人々の認識と理解を深めるための国際的な取り組みが行われ、4月14日に定められた。インド政府首席科学顧問(Principal Scientific Advisor)のアジェイ・クマール・スード(Ajay Kumar Sood)教授は、「量子技術は、数十年にわたる基礎研究の結果、重ね合わせやもつれ、測定などの利用が可能になった新たなテクノロジーのフロンティアです。量子技術は、医学分野から先端材料分野の新規発見、安全な通信技術から超高感度なセンサー技術に至るまで、世界経済にとって計り知れない可能性を秘めた活用につながることを約束します」と、量子技術の持っている潜在的なインパクトをアピールした。
首相科学技術諮問委員会(PM-STIAC)によって構想された国家量子ミッション(NQM)は、2023年4月19日、8年間の総支出額が600億ルピーの閣議決定を受けた。このミッションは、科学的・産業的研究開発の種をまき、育て、規模を拡大し、量子技術(QT)の革新的なエコシステムを構築することを目的としている。インドは、QT主導の経済成長を加速させ、国内のエコシステムを育成し、QTとそのアプリケーション開発における先進国の1つとなることを目指す。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部