米国ノートルダム大学(University of Notre Dame, Indiana)とハワイ大学マノア校(University of Hawaii, Honolulu)の経済学者らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時に生まれた新生児が、パンデミック前に生まれた新生児より、低体重になるリスクが高いことを明らかにした。科学誌nature indiaが6月21日に伝えた。研究成果は科学誌Communications Medicineに掲載された。
この研究では、インドの第5回全国家族健康調査のデータを含む20万4615人のデータを対象に分析が行われた。インドで生まれたCOVID-19パンデミック時の新生児の体重は、パンデミック前に生まれた新生児より11g少なかった。インドの新生児は、2500g未満の低出生体重児(LBW)の発生率がもともと高く、COVID-19のパンデミックは、自宅出産の増加などの危険因子を高めた。
研究チームは、COVID-19の第1波にあたるパンデミック期間として2020年4月から2021年4月までに生まれた新生児とその前に生まれた新生児に分類し、追跡研究と呼ばれるコホート研究を実施した。統計モデルを用いて、パンデミック前コホートとパンデミックコホートの出生時体重とLBW発生率を比較検討した。結果は、パンデミック時に生まれた新生児が、パンデミック前に生まれた新生児より、低体重になるリスクが高いことを明らかにした。LBW有病率はパンデミックコホートで20%、パンデミック前コホートで17%となった。
これらは、妊娠中の母親の感染やパンデミック中のストレスや経済的混乱が、母体の健康に悪影響を及ぼした可能性が考えられる。また、移動の制限やソーシャルディスタンスが家庭にさらなるストレスを与えた可能性がある。加えて、妊産婦サービスや新生児サービスの中断も妊婦に間接的な影響を与えた可能性も考えられる。
この研究は、中低所得国の社会的弱者に対して、パンデミック時におけるLBWのリスクを軽減するための政策の必要性を提唱するものだ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部