新しいレシピを作る人工知能(AI)であるラタトゥイユ(Ratatouille)の精度の実験をインド・デリーのホテル経営学院の最終学年の学生らを対象に実施し、69.88%の割合で人間が作ったレシピだと思わせることに成功した。科学誌nature indiaが7月15日に伝えた。
過去10年間で、料理データベース、ドメイン固有のアルゴリズム、アプリケーションが体系的に編纂され、計算ガストロノミーは強力なデータサイエンスの分野となった。例えば、RecipeDBは、世界中の料理のレシピをまとめたデータベースで、料理の要素を特定できるアルゴリズムを備えている。FlavorDBは、食材の味覚と嗅覚の相関関係を示し、特定の食材が料理で使用される分子的および進化的理由を明らかにしている。テキスト生成戦略や大規模言語モデル(LLM)を活用した新しいレシピ生成アルゴリズムの開発も進行している。Ratatouilleは、世界中の11万8000以上のレシピをもとに、最先端の名詞認識アルゴリズムを使って料理の微妙なニュアンスを捉えている。
Ratatouilleの能力をテストするために、「シェフのためのチューリングテスト」を実施した。このテストでは、熟練のシェフに伝統的なレシピまたはコンピューターが生成したレシピをランダムに提示し、シェフが専門知識と直感に基づいて、そのレシピが偽物か本物かを5段階で評価する。デリーのホテル経営学院の最終学年の学生らがRatatouilleの能力テストを行った結果、69.88%の割合で本物のレシピと思わせることに成功した。Ratatouilleは、材料と分量、前処理の手順、調理の手順、適切な調理器具と方法、準備時間、盛り付けの提案など、詳細な指示を提供する。
新しいレシピ生成の戦略は、美味しくて栄養価の高い料理を生み出す可能性を秘めており、公衆衛生にも貢献するだろう。適切なデータを使えば、個々のニーズに合わせた費用対効果の高い環境に優しいレシピも生み出せる。一方で、AIが作ったレシピが受け入れられるかどうかは味が重要で、レシピを活かすには、シェフの技術、直感、創造性が不可欠である。AIが作ったレシピがマスターシェフのコンテストで優勝する日が来るかどうか興味深いところだ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部