2024年08月
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加齢に伴う脱毛に関連した遺伝子を発見 インド

インド・ムンバイにあるタタ・メモリアル・センター(Tata Memorial Centre)の研究者らは、細胞質のアダプタータンパク質であるDisabled2(Dab2)がヒトの加齢性脱毛を治療するための新たなターゲットになる可能性を示した。科学誌nature indiaが7月25日に伝えた。研究成果は科学誌Communications Biologyに掲載された。

Dab2は皮膚の表面にある毛包幹細胞の自己再生を制御している。これは、毛髪の成長に必要な皮膚上部の2層にあるチューブ状の毛包の再生に役立っている。Dab2は、毛包幹細胞において促進されることが分かっているが、その具体的な役割は知られていない。研究者らは、同じ年齢の雌のマウスで構成された2つのグループ(Dab2を持つグループとDab2を持たないグループ)を用意し、マウスの毛の成長段階を比較した。

その結果、研究者らは、Dab2を持たないマウスのグループにおいて、毛包全体の成長が鈍化し、毛包幹細胞の働きが低下していることを明らかにした。また、皮膚の最外層でケラチンと脂質を産生する細胞であるケラチノサイトの成長が、阻害されていることも発見した。

さらにDab2の欠損は、毛包幹細胞の再生能力を奪い、将来Dab2と期待される部分の45%を減少させることが分かった。そして、ワックスで背中の毛を取り除いた若いマウスにおいても、Dab2の欠損が毛の回復を妨げていることを明らかにした。研究チームは、このDab2の欠損が毛包の老化を促進させていると考える。

今回の研究で得られた知見は、ヒトの加齢に伴う脱毛治療の新たな開発に役立つ可能性があると、研究者らは期待している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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