2024年09月
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複数種のマングローブを移植し、荒廃した水辺の生態系を回復 インド

西ベンガル州立大学(WBSU)の研究者が率いる研究チームは、インドのスンダルバンスにおいて、荒廃したマングローブ林を回復させるためのサイト固有の戦略について研究を行った。科学誌nature indiaが8月12日に伝えた。研究成果は科学誌Scientific Reportsに掲載された。

WBSUのクリシュナ・レイ(Krishna Ray)氏が率いる研究チームは、スンダルバンスのサプタムキ・ゴバディア・バルカラ・ムリダンガバンガ川のほとりにある31の荒廃した小さなマングローブ林に、在来のマングローブ種、地元で絶滅の危機に瀕しているマングローブ種、耐塩性の草を移植した。また、特定のマングローブの根から分離した成長促進バクテリアも利用した。

研究チームは、2014年~2023年にかけてマングローブ生態系をモニタリングした。スンダルバンスのラムガンガ村周辺においては、密集した複数種のマングローブと耐塩性の草が部分的に回復し、在来魚や食用のカニが増えていることを確認した。また、回復したマングローブ林と堤防が、アムファンとヤースと呼ばれる2つのサイクロンの影響を阻止する防壁として機能したことにも触れている。

植林後、自然に再生されたマングローブが着実に回復したことも分かった。これは一度再生が始まると、マングローブ林の回復プロセスが人間の介入なしに行われることが示唆された。さらに、植林によってラムガンガの水域の表層を移動する生物種の多様性と存在量が高まり、カブトガニが集まるようになった。このような生物は、硫酸塩から毒性のある硫化物への転換を妨げ、マングローブ生態系の回復に役立つと考えられる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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