インド工科大学マドラス校(IIT-M)は8月13日、IIT-M機械工学科の研究者らが、水を水素とヒドロキシルラジカルに分解するための流体力学的キャビテーション(HC)の反応器の性能を予測する数値解析法を開発したと発表した。研究成果は科学誌Chemical Engineering Scienceに掲載された。
ヒドロキシルラジカルは、さまざまな汚染物質を分解することができる。ヒドロキシルラジカルを使用した廃水処理は、環境に優しく、高い費用対効果が見込めることから研究者の注目を集めている。
HCは、水を水素とヒドロキシルラジカルに分解する方法の1つだ。液体がノズルなどの低圧領域を流れる際に、蒸気に満たされた気泡が形成されるプロセスを指す。気泡が成長し、高圧領域に移動すると激しく崩壊し、大量のエネルギーを放出する。この反応を行う装置はHC反応器と呼ばれ、キャビテーション数と呼ばれる無次元数がHCの程度の決定に利用される。
研究では、HC反応器の評価のためHC反応器内の機械的効果、熱的効果、化学的影響の3つのメカニズムを考慮し、以下の知見を得た。
ムンバイにある化学技術研究所のパラグ・R・ゴガテ(Parag R. Gogate)博士は、著者らの研究の重要性を認め、「本論文は、ヒドロキシラジカル生成とそのキャビテーション数と回収圧力の観点から、HC反応器の性能を評価するものです。また、キャビテーション効果と化学反応速度を関連付けるための詳細な数値モデルを提示しました。ヒドロキシラジカル生成の定量化は、廃水処理のHC反応器の酸化能力の評価や反応器の設計に有用です。現在、規模を拡大して確認する方法がないため、この研究の成果は商業的にも有用です」とコメントした。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部