インドは、2030年までに3000億米ドルのバイオエコノミーを達成するという野望を掲げ、高性能なバイオ製造の取り組みを拡大するための新しい政策を発表した。科学誌nature indiaが8月28日に伝えた。
BioE3(経済・環境・雇用のためのバイオテクノロジー)政策は、研究と起業家精神の支援を通じて、高性能なバイオ製造を促進することを意図していると、ジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は述べた。この政策は、CO2排出量を最小限に抑えたバイオベースの製品開発に重点を置き、インドの伝統的な化学産業からの転換を図るものだ。
インドのバイオエコノミーは、2014年の100億米ドルから2024年の1300億米ドル以上に成長している。インドのバイオテクノロジー庁(DBT)長官であるラジェッシュ・ゴカレ(Rajesh Gokhale)氏によると、新しい政策では、バイオ製造ハブやバイオファウンドリーを構築することで、技術開発や商業化を加速させたいと考えている。
DBTの傘下にあるバイオテクノロジー産業研究支援評議会(BIRAC)のマネージング・ディレクターであるジテンドラ・クマール(Jitendra Kumar)氏は、この政策によりグリーンな成長が見込まれると述べた。BIRACは、初期段階の開発に取り組む科学者や研究機関を特定し支援することでプロジェクトの舵取りを行い、さらに業界パートナーが製品を試験から市場に近い形で生産できるよう支援するという。
BioE3政策には、バイオベースの化学物質やバイオポリマーと酵素、スマートタンパク質と機能性食品、精密バイオ治療薬、気候変動に強い農業、炭素回収とその利用、海洋と宇宙研究の6つの広範な重点分野がある。
クマール氏は、すべてのテーマで技術的解決策の提案を募集すると述べた。専門家委員会は提案を評価し、優先事項と商業的可能性に基づいて国は資金を提供する。DBTとBIRACは、医薬品やその中間体など戦略的に重要な製品を優先的に扱う。
またクマール氏によれば、インドは精密発酵などの高性能バイオ製造、人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)の利用においても遅れをとっており、政府はコスト面での優位性を考慮し、こうした分野のトレーニングやスキルアップ、技術ライセンス供与に関する国際的なパートナーシップを奨励するという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部