2024年10月
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タンパク質同士の結合力の変化を予測するAIツールを開発 インド工科大学マドラス校

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は9月3日、同大学の研究者がタンパク質同士の結合力(結合親和性)の変化を予測する人工知能(AI)ツールであるDeepPPAPredMutを開発したことを発表した。研究成果は科学誌Bioinformaticsに掲載された。

タンパク質同士は相互作用し複合体を形成するなどして、細胞シグナル伝達、代謝、遺伝子発現などの多くの生体機能に関与している。しかし、タンパク質複合体に突然変異が生じると、その安定性が崩れ、機能不全を引き起こし、病気につながることがある。これらの複合体の結合力は、突然変異が結合にどのように影響するかを評価する上で重要である。

DeepPPAPredMutは、物理化学的特性、位置特異的スコアマトリックス(PSSM)、アミノ酸特性、突然変異部位のグラフベース特性を使用して、ユーザーから受け取ったタンパク質の配列と突然変異の情報に基づき、ディープラーニング手法を活用することで結合親和性の変化を予測するものだ。研究チームは、ベンチマークデータセットを用いてDeepPPAPredMutを評価し、既存の方法よりも高い性能を確認した。このツールは、研究者が簡単に利用できるよう、ユーザーフレンドリーなウェブサーバーとして提供されている。

インドのデリー大学のマニシュ・クマール(Manish Kumar)博士は、「DeepPPAPredMutは、がんやハンチントン病などの病気の分子メカニズム解明に貢献する可能性があります」と研究の重要性を強調した。また、インドのタタ基礎研究所のR. ソウダミニ(R. Sowdhamini)教授は、「タンパク質間相互作用における突然変異の影響は極めて重要です。この問題に焦点を当てた研究は少ないのが現状です。本研究では、この問題に取り組み、十分なデータセットと、厳密なトレーニングとテストを行ったモデルを開発しています」と本成果を高く評価している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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