2024年10月
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新型コロナウイルス変異株に対応可能な経鼻ワクチンを開発 インド

インディアンイムノロジカルス(Indian Immunologicals)社とオーストラリアのグリフィス大学の共同研究チームが、コドン最適化制御(CDO)という遺伝子工学技術を使い、現在および将来の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株に対して広範な防御効果もたらす可能性がある経鼻ワクチンを開発した。科学誌nature indiaが9月3日に伝えた。研究成果は科学誌Nature Communicationsに掲載された。

SARS-CoV-2は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスで、そのスパイクタンパク質は多くのワクチンの標的とされている。新たな変異株では、このスパイクタンパク質に変異があり、既存のワクチンの効果が低下することが確認されている。

CDO技術は、タンパク質のアミノ酸配列を変えずにウイルスのタンパク質合成効率を低下させる手法である。特に、CDO-7N-1というワクチン候補は、1回の投与で強力な免疫反応を誘発し、中和抗体やT細胞の反応を引き出した。マウス、ハムスター、サルを用いた実験では、SARS-CoV-2感染に対する強力な防御効果が確認され、ウイルスの増殖が著しく抑制された。

CDO-7N-1は、SARS-CoV-2の全ての主要なタンパク質に対して免疫を誘導し、これまでの主要な変異株に対しても非常に効果的であることが示されている。さらに、複数回の培養や動物実験でも安定性を維持し、再度病原性を持つことがないことも確認された。

研究者たちは、このワクチンが長期的な免疫を提供し、新しい変異株にも優れた保護効果を発揮する可能性があると期待している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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