インド宇宙庁は9月18日、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が議長を務める連邦内閣により、金星探査機ミッション(VOM)の開発が承認されたことを発表した。
宇宙庁が計画している金星探査ミッションは、金星の表面と地下、大気プロセス、金星大気への太陽の影響を理解するために、惑星金星の軌道上に科学探査機を周回させることを想定している。金星の環境について研究することは、金星と地球という姉妹惑星の進化を理解する上で貴重な助けとなるだろう。
探査機の開発と打ち上げは、インド宇宙研究機関(ISRO)が担当し、2028年3月中にプロジェクトは完了する見込みである。得られたデータは多くの研究者に共有され、科学的成果をもたらすものと期待されている。また、機器の開発はさまざまな産業を通じて行われ、大きな雇用の可能性と、経済の活性化、他の部門への技術スピンオフが想定されている。
VOMのために承認された総資金は123億6000万ルピーで、そのうち82億4000万ルピーが探査機に費やされる。この費用には宇宙船の開発と実現、ナビゲーションとネットワークのためのグローバルな地上局のサポート費用、ロケットの打ち上げ費用が含まれる。
このミッションにより、インドは将来的に、より大きなペイロード(輸送機の搭載量)や最適な軌道投入アプローチによる惑星ミッションが可能になる。探査機やロケットの開発には、インドの産業界が大きく関与する。また、設計、開発、試験、試験データの削減、校正などを含む打ち上げ前の段階において、さまざまな学術機関の関与や学生への訓練も想定されている。このミッションは、インドの科学界に新たな貴重なデータを提供し、科学の発展に貢献するものである。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部