インド工科大学グワハティ校(IIT-G)は9月18日、同大学の研究者と南アフリカのステレンボッシュ大学の研究者による、一般相対性理論と量子力学という現代科学の2大柱を橋渡しする可能性を秘めた重力の量子的性質に迫る研究成果を発表した。研究成果は学術誌Physics Letters Bに掲載された。
現代物理学は、一般相対性理論と量子力学という2つの枠組みにより構成されている。一般相対性理論は、惑星や恒星のような巨大な物体に重力がどのように働くかを説明するもので、重力はこれらの物体の周りの空間と時間の曲率として記述される。一方、量子力学は原子や素粒子レベルの粒子の振る舞いを記述している。どちらの理論もそれぞれの領域では優れているが、量子レベルで重力がどのように機能するかは説明できていない。この2つの理論の間の断絶は重要な研究テーマの1つとなっている。
IIT-G物理学科准教授のビバス・ランジャン・マジ(Bibhas Ranjan Majhi)博士とステレンボッシュ大学のパルタ・ナンディ(Partha Nandi)博士が率いる研究は、この2つの理論を橋渡しする可能性を秘めた重力誘起エンタングルメント(GIE)に焦点を当てている。研究では重力が量子力学における「もつれ」を引き起こす可能性を調べるという革新的なアプローチを取っている。もつれとは、量子力学において2つの粒子がリンクし、一方の粒子の状態が他方の粒子の状態に影響を与える現象で、GIEは重力がこの量子的な結びつきを作り出し、重力の量子的な側面を明らかにする可能性があるというものだ。
研究についてマジ博士は「私たちは2次元量子調和振動子と重力波を結びつける理論的枠組みを開発しました」と説明している。重力波検出器を使って重力が引き起こすエンタングルメントを検出できれば、重力が量子レベルに作用していることを示す最初の証拠となり、暗黒物質と暗黒エネルギーの性質など、他の宇宙の謎を解き明かす可能性もある。この研究は量子重力の探求を前進させるだけでなく、将来の発見への基礎を築き、宇宙で最も大きな要素と最も小さな要素についての理解を統合する可能性も考えられる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部