インドの人工知能(AI)関連のポータルサイトINDIAaiが9月27日に、国家保健局(NHA)とインド工科大学カンプール校(IIT-K)が、Ayushman Bharat Digital Mission(ABDM)の一環として、医療分野におけるAIの発展を目指した了解覚書(MoU)を締結したことを伝えた。このパートナーシップは、AIを活用した医療研究を促進するデジタル公共財プラットフォームを開発し、AIモデルの比較と検証を可能とすることを目的としている。
今回のMoU署名は、アプルヴァ・チャンドラ(Shri Apurva Chandra)連邦保健・家族福祉省次官の立会いのもと行われた。このパートナーシップの下、複数の機械学習パイプラインや、AIモデルのオープンベンチマークプラットフォーム、研究用の安全な同意管理システムを組み込んだ、連合学習プラットフォームの構築を目指すという。連合学習とは、データを各エッジに分散したままの状態で機械学習を行う手法のことで、情報漏洩などのセキュリティリスクを抑えることができると期待される。この取り組みは、高品質でプライバシー保護された医療データへのアクセスを改善し、AIを活用した研究や診断の改善、臨床転帰の向上を目指している。開発されたプラットフォームはAIモデルの比較と検証を行う公共資源として機能し、医療分野のデータ分断や信頼性の課題解決に貢献する予定である。
同次官は、このMoUがAIを活用して健康成果を向上させる重要な一歩であると強調し、信頼性のあるデータの提供が病気の診断におけるAIモデルの有効性を高めると述べた。このパートナーシップにより、臨床現場でのAIシステムの信頼性と効率性が向上することが期待されている。
IIT-Kのマニンドラ・アグラワル(Manindra Agrawal)教授は、このパートナーシップを通じて、研究者、医療提供者、政策立案者に強力なAIツールを提供することで、質の高い医療へのアクセスを民主化するのに役立つとの見解を述べた。また、このプラットフォームは信頼できるベンチマークを提供し、統計の誤用を防ぐことで、データの質を損なうことなく革新を促進することが期待されている。
今回のMoUは、AIと医療の統合に向けた変革的な一歩と位置付けることができ、今後、インド全土にわたって革新性、透明性、健康成果の向上を促進するプラットフォームの構築につながるものと期待される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部