インド宇宙庁は10月25日、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相率いる連邦内閣が、インドの宇宙セクターを支援するために100億ルピーのベンチャーキャピタル(VC)ファンドの設立を承認したと発表した。
(出典:PIB)
現在、英国やイタリア、日本、サウジアラビアなど、各国で宇宙分野に特化したVCファンドが設立されている。一方、インドではハイテク宇宙分野におけるリスクキャピタルが決定的に不足しており、この解決のため、政府の包括的な宇宙分野改革の一環として2020年に設立されたインド国立宇宙推進認可センター(IN-SPACe)により、本VCファンドが提案された。
宇宙ベンチャーの成長促進とインド宇宙経済の強化を行うことで、インドが宇宙技術の世界的リーダーとしての地位を確立することを目的としている。また、インド政府が推進する「自立したインド」(Atmanirbhar Bharat)の目標を支援するものである。
VCファンドはハイリスク・ハイリターンの宇宙開発分野における民間企業特有のニーズに対応するよう設計されており、今後5年間に約40の初期~後期の成長ステージにおける新興企業に対して、資本注入や人材確保と国内での開発の援助、技術開発や、国際競争力の強化などを行う予定だ。この取り組みを通じ、直接的、間接的な雇用を創出するだけでなく、宇宙エコシステムを拡大し、自立と持続可能な発展を支えるイノベーション中心の経済を構築することで、経済成長を促進することが期待されている。
現在のインドの宇宙経済は約84億米ドルと評価されており、世界の宇宙市場の2%のシェアを占めている。政府は、2033年までに宇宙経済を440億米ドルに拡大することを構想しており、これには110億米ドルの輸出が含まれ、世界シェアの7~8%に相当する。こういった構想の実現に向けて、インドの宇宙経済の様々な分野で現在活動している約250社の有望な新興企業を含む、民間企業の活躍が期待されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部