2024年11月
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重要技術・新興技術に関する印米イニシアティブ(iCET)の成果と課題 米シンクタンク

米国シンクタンク「カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)」のインドの政策シンクタンク、カーネギー・インディア(Carnegie India)は10月23日、「重要技術・新興技術に関するインド・米国イニシアティブ(initiative on Critical and Emerging Technology: iCET)」について、これまでの成果と過去2年間の経験から得られた教訓をまとめ、将来の取り組み強化に向けた具体的な方策を提言するワーキングペーパーを公表した。

2023年1月に発足したiCETは、技術・経済分野における米印間の協力を深めるユニークな枠組みであり、米国家安全保障会議(NSC)とインドの国家安全保障会議事務局(NSCS)が主導している。

ワーキングペーパーでは、共同声明やファクトシートなどのiCETの成果物に基づき、半導体、宇宙、輸出管理、防衛、AI・バイオテクノロジーの分野別に、これまでの成果と課題を分析し、2025年に向けた提言をまとめている。例えば、半導体分野では、iCETの発足により生まれた両国間の協力環境が呼び水となって、米マイクロン・テクノロジーの8億2500万ドル規模の半導体組み立て・検査施設への投資が実現したとの見解を示し、今後の重点分野として、セキュアチップの共同開発、化合物半導体分野での協力、先進的パッケージング技術の開発などを提言している。

ワーキングペーパーはまた、過去2年間の経験から得られた教訓として、継続的な関与の重要性や政府のかじ取り役としての役割、「協定(deal)」としてではなく枠組みとしてのiCETの位置付けの重要性を指摘している。

さらに、今後の課題として、米国の政権交代がiCETに与える影響や、インドのロシアとの関係、中国との関係などの地政学的な要因に言及した上で、iCETの制度的な枠組みのあり方について、NSCとNSCSの主導体制にインド外務省と米国務省を正式に組み込むことやEUの貿易技術評議会(TTC)のような主要省庁による共同運営体制への移行、あるいはより大胆な選択肢としてiCETの枠組み自体の抜本的な見直しを提言している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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