2024年12月
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ペプチドベースの調整可能な圧電応答性ナノ材料を開発 インド

インド科学技術省(MoST)は11月21日、インド科学技術庁(DST)傘下のナノ・ソフトマター・サイエンスセンター(CeNS)とジャワハルラール・ネルー先端科学研究所(JNCASR)の研究者らが、ペプチドの自己組織化を制御することで、さまざまなナノ構造を開発し、多様なデバイスに利用できる圧電材料の圧電応答特性を効果的に高めることに成功したと発表した。研究成果は学術誌Chemical Scienceに掲載された。

ペプチドの自己組織化は、超分子自己組織化と呼ばれ、非共有結合相互作用によって小さな分子が大きな構造体に自発的に組織化する。このプロセスは、エレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、生物医学など分子の精密な制御が重要な分野で使用されるナノデバイス製造の基礎となる。圧電材料は、機械的ストレスを受けると電荷を発生させる性質を持っている。この特性は、機械的エネルギーを電気信号に変換したり、その逆を行ったりするセンサーやアクチュエーター、環境発電デバイスへの応用に適する。

超分子自己組織化にこの圧電特性を組み合わせることで、動的でカスタマイズ可能な特性を持つ次世代のナノ材料を設計する強力なアプローチが可能となる。このイノベーションは、スマートマテリアルの機能性を高めるだけでなく、テクノロジーとマテリアルサイエンスのブレイクスルーへの道を開き、ヘルスケアからエレクトロニクスまで、さまざまな分野の進歩を促す。

研究者らは温度や溶媒組成を含む複数のパラメータを操作することで、ペプチドの自己組織化における速度論的状態と熱力学的状態の複雑な相互作用を明らかにした。制御された自己組織化プロセスは、分子配列の正確な操作を可能とし、ナノ材料に組織化された非対称構造をもたらした。この構造的非対称性は、ナノ材料が機械的ストレスに応答して電荷を発生することを可能にするため、圧電特性を導入する上で重要である。

ペプチドの自己組織化ベースのナノ材料は、調整可能な圧電特性を持っており、分子レベルで精密に制御できる材料設計の新たな可能性を開く。

(出典:PIB)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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