2025年01月
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サトウキビ糖を生産するための持続可能で効率的なプロセスを提案 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は、同大学機械工学科の研究者らがジャガリーと呼ばれるサトウキビ糖を生産するため、太陽光の集熱器であるパラボリックトラフコレクター(PTC)を使用した持続可能で効率的な蒸発・凝縮プロセスを提案したと発表した。研究成果は学術誌Energyに掲載された。

ジャガリーは伝統的な甘味料としてさまざまな料理に使用されており、ヒンズー教の祭りであるマカラ・サンクランティで作られる甘いお粥のチャッカライ・ポンガルは有名である。ジャガリーはヒンズー教の他の多くの儀式でも使用される。インドは世界有数のジャガリー生産国であり、その豊かさに大きく貢献している。

ジャガリーはサトウキビジュースを沸騰させることで生産される。しかしながら、従来のジャガリーは、品質や衛生、保存期間に問題があり、大量のエネルギーを必要とすることから環境に対して優しくない。これらに加えて、ジャガリーの市場価値を上げるためハイドロサルファイトやリン酸などの人工清澄剤が使用されており、健康に害を与える。

この研究では、IIT-M機械工学科の熱伝達・火力ラボのP. ヴェンカタ・サイ(P. Venkata Sai)博士とK. S. レディ(K. S. Reddy)教授が、太陽光PTCを活用したジャガリー濃縮の蒸発凝縮プロセスを提案した。このシステムにより、高品質のジャガリーが生産されるだけでなく、蒸留水も生成されるため、投資回収期間を短縮させる。また、天候が悪く太陽光が得られない場合、この蒸留装置は低圧環境下で高圧のジュースをフラッシュさせることで蒸発を行うことができる。このプロセスは、ジャガリーの品質向上のために最適化され、エネルギー消費を削減し、持続可能な生産を促進させる。

提案されたシステムでは、数学モデルがサトウキビジュースの濃縮と蒸留水の生産量を予測し、実験結果とよく一致した。この研究は、ジャガリーの生産者がより持続可能で効率的な手法を採用するための道筋を提供する。また、革新的な技術が伝統的なプロセスを発展させ、食品業界を強化する可能性を示すことで、食品加工のより広範な分野に貢献する。

(2024年12月10日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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