2025年01月
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柔軟な近赤外プラズモニックデバイス開発、ウェアラブルセンサー等への利用が期待 インド

インド科学技術省(MoST)は、ジャワハルラール・ネルー先端科学研究所(JNCASR)の研究者が窒化スカンジウム(ScN)膜を使用して柔軟な近赤外プラズモニックデバイスを実現するための新たな方法を示したと発表した。研究結果は学術誌Nano Lettersに掲載された。

プラズモニクスは、金属中の光と自由電子の相互作用を利用し、閉じ込められた電磁場を形成する場である。プラズモニックデバイスは、拡張可能で費用対効果の高いプラズモニック材料を用いることで、近赤外(NIR)光に依存する未来のオプトエレクトロニクスやフレキシブルセンサー、医療用画像ツールの設計に革命をもたらす可能性がある。しかしながら、既存のプラズモニック材料は硬く、その利用は限られていた。

インド科学技術庁(DST)傘下の独立研究機関であるJNCASRのビバス・サハ(Bivas Saha)教授は手頃な価格で入手できるScN膜を使用して、柔軟なプラズモニック構造を作る方法を実証した。研究チームは、ScNとファンデルワールス層基板(層間相互作用が弱い材料)を組み合わせることで、優れた品質と柔軟性を備えたScN層を作成し、プラズモニック材料研究に新たな道筋を示した。

研究チームは、ScNが近赤外プラズモニクスをサポートするだけでなく、曲げや屈曲を受けてもその性能を維持する安定した素材であり、柔軟なデバイスアプリケーションの有力候補であることを示した。この研究は、通信からバイオ医薬品まで幅広い産業に有望な成果をもたらし、次世代のプラズモニックデバイスを開発するための新たな材料を提供した。

研究の筆頭著者であるデブマルヤ・ムコパディヤヤ(Debmalya Mukhopadhyaya)氏は、「この研究の成果は、プラズモニクスとフレキシブルエレクトロニクスを融合させる重要なステップであり、自由電子の集団振動が電磁波と結合した近赤外のプラズモンポラリトンのユニークな特性を活用するイノベーションの土台となる可能性があります」と述べた。

プラズモニクスの研究が進化し続ける中、ScNの革新的な利用は、材料科学の創造的な可能性と、技術的限界を再定義する可能性を示している。

(出典:いずれもPIB)

(2024年12月12日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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