2025年01月
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農業従事者の健康を守る抗農薬スーツを開発 インド

インド科学技術省(MoST)は、インドバイオテクノロジー庁(DBT)傘下のBRIC-Instem研究チームがインドのセピオ・ヘルス(Sepio Health)社と共同で抗農薬スーツKisan Kavach®を開発したことを発表した。研究成果は科学誌Nature Communicationsに掲載された。

(出典:PIB)

開発したスーツは、製造工程でコットン生地に求核剤を共有結合で付着させ縫製する。これによりKisan Kavach®生地は、農薬に接触すると求核剤を介した加水分解によって農薬を不活性化しその毒性や致死性を防ぐことができる。農薬の有害な影響から農業従事者を守るために設計されたこの技術は、農業従事者の安全を確保するための第一歩であり、科学技術を活用して農業界に力を与えるというナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相のビジョンに沿ったものだ。

ジテンドラ・シン(Jitendra Singh) 科学技術相は「Kisan Kavach®はただの製品ではなく、国民に食料を供給し続ける農業従事者の健康を守るための、農業従事者への約束なのです」と語る。このスーツは4000ルピーの価格で、洗濯も再利用も可能で最長1年間使用できる。生産規模が拡大するにつれて、より購入しやすい価格となり、全国のより多くの農業従事者が手に入れることができる。

同相は発表の最後に、社会のために科学を活用するという政府のコミットメントを改めて強調し、「Kisan Kavach®はインドの農業コミュニティにとっての希望の光であり、緊急のニーズに応えるだけでなく、インドの人々のために革新する能力を示すものです」と述べた。

(2024年12月17日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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