2025年01月
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メラトニンのナノ粒子製剤がパーキンソン病治療薬の可能性を示す インド

インド科学技術省(MoST)は1月2日、科学者らが、暗闇に反応して脳内で分泌されるメラトニンのナノ粒子製剤が、抗酸化作用や神経保護作用の改善を示し、パーキンソン病(PD)の治療薬になる可能性があることを証明したと発表した。研究成果は学術誌ACS Applied Materials & Interfacesに掲載された。

PDは、脳内にあるタンパク質の一種であるシヌクレインの凝集によって、ドーパミンを分泌する神経細胞が死滅することで発症する神経疾患である。これまでの研究により、PDに関連する遺伝子が、機能不全に陥ったミトコンドリアを除去し、酸化ストレスを軽減するマイトファジーと呼ばれる品質管理メカニズムを制御していることが分かっている。多くの抗酸化物質の中でも、メラトニンは、脳内の内分泌腺である松果腺から分泌される神経ホルモンであり、PDを軽減するためのマイトファジーの誘導因子である可能性がある。

インド科学技術庁(DST)傘下のナノ科学技術研究所(INST)の研究チームは、ヒト血清アルブミンのナノ製剤を用いてメラトニンを脳に送り込み、メラトニンを介した酸化ストレス制御の分子メカニズムの研究を行った。その結果、ナノ製剤化されたメラトニンが抗酸化作用と神経保護作用の増強を示すことが明らかになった。この研究では、不健康なミトコンドリアを除去するためにマイトファジーを改善するだけでなく、試験管内(in vitro)のPDモデルにおける農薬(ロテノン)誘発毒性を打ち消すためのミトコンドリアの生合成も改善した。

発表された論文では、ナノ製剤化されたメラトニンのin vitroと生体内(in vivo)における神経保護効果が大幅に優れていることや、ナノ製剤化されたメラトニンがマイトファジーを制御する分子や細胞動態に影響を与えていることが強調された。この研究は、メラトニンによるマイトファジーの制御の背後にある分子メカニズムを明らかにした。マイトファジーの強化はPDモデルにおける酸化ストレスの軽減に重要であった。

(出典:PIB)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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