2025年02月
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ストレスを検知できるウェアラブルデバイス向け新システムを開発 インド

インド科学技術省(MoST)は1月15日、科学技術省の独立研究機関であるジャワハルラール・ネルー先端科学研究センター(JNCASR)の科学者たちが、ゆがみを検知し痛みの知覚を模倣し、それに応じて電気的反応を適応させるデバイスを開発したと発表した。研究成果は学術誌Materials Horizonsに掲載された。

人間の体が痛みに反応するように、ひずみに反応する伸縮性デバイス。適応や慣れの挙動を模倣し、痛みの反応を調節する。
(出典:PIB)

ヘルスケアからロボット工学に至るまで、幅広い分野で人間の感覚のようにストレスや痛みを感知できる素材が必要とされている。それらの素材はさまざまな技術の安全性を高め、ウェアラブル技術をよりスマートにし、人間と機械の相互作用を改善することができる。

私たちの体内には侵害受容器と呼ばれる特殊なセンサーが痛みを感知し、有害な状況に対応する手助けをしている。また、繰り返し痛みを感じることで、慣れと呼ばれるプロセスを経て、痛みをあまり感じなくなる。JNCASRの科学者たちはこの現象に着想を得て、ひずみを検知するだけでなく、それに適応して学習するセンサーの開発を行った。

開発したのは、柔軟で伸縮可能な素材に埋め込まれた極小の銀ワイヤのネットワークを使った素材だ。素材が引き伸ばされると、銀ネットワーク内に小さな隙間が生じ、電気経路が一時的に遮断される。その後、電気パルスが銀に隙間を埋めるように促し、ネットワークを再接続することで、その出来事を記憶することができる。引き伸ばされ、再接続されるたびに反応を徐々に調整することができ、このプロセスは記憶と適応を模倣することを可能にする。

今回開発した素材は、センシングと適応反応を複雑なセットアップや外部センサーを必要としない1つの柔軟なユニットに統合している。この研究は人体のようにストレスを感じ、リアルタイムで適応し医師やユーザーにフィードバックを与えるより高度な健康監視システムにつながる可能性がある。また、この技術の応用によりロボットシステムを改善し、機械がより安全で直感的に人間と協働できる可能性も考えられる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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