インド政府は、倫理的な人工知能(AI)の世界的リーダーとしての地位を確立するため、費用対効果の高い国産のAIシステムに投資すると発表した。科学誌nature indiaが2月10日に伝えた。
インドのアシュウィニ・バイシュナブ(Ashwini Vaishnaw)電子・情報技術相は、1月に行われた記者会見において、インド初となる独自開発のAIモデルを10カ月以内に完成させる予定であると述べた。このAIモデルは、安全性だけでなく費用対効果が高いことも期待されている。世界のAIモデルの計算には1時間あたり2.50~3米ドルかかるが、インドのAIモデルは政府による40%の補助金により、1時間あたり1.15米ドル未満になると予測され、競争力ある代替案となる。
今月初めに発表された2025年度予算は、この取り組みを強化し、2024年度に割り当てられた55億1000万ルピーから大幅に増額した200億ルピーをインドAIミッションに割り当てる。スタートアップのエコシステムと政府のイニシアティブがAIへの進出を後押しし、スタンフォード大学のグローバルAIインデックスによると、インドは現在、AIイノベーションで世界第4位にランクされている。昨年3月、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が議長を務めるインド内閣は、1037億2000万ルピーの予算でインドAIミッションを承認した。このイニシアティブでは、戦略的プログラムと官民パートナーシップを通じて、強固なAIエコシステムを構築することを目的としている。
インドはAI研究において大きな進歩を遂げてきた。しかしながら、この技術の大規模な導入は依然として遅れている。専門家は、AI導入を加速させるには、政策立案者、学術機関、民間部門の連携を含む多角的なアプローチが必要だと主張する。電子・情報技術省(MeitY)の事務次官であるS・クリシュナン(S・Krishnan) 氏は、「投資を促進し、強固なAIインフラを構築する必要があります。倫理的な懸念に対処しながら、AIを促進するための政策介入を行うべきです」と述べた。同氏は、インドの独自AIモデルの成功は、イノベーション、手頃な価格、倫理的なAIガバナンスのバランスを取る国の能力にかかっているとの考えを示した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部