インド科学技術省は2月24日、農業・畜産・水産養殖分野におけるバイオテクノロジーの進展を発表し、ゲノム編集や分子育種、生物防除技術などの最新技術がこれらの分野の持続可能な食料生産、耐病性、生産性の向上を促進していることを強調した。
農業分野では、干ばつ耐性を持つ高収量ヒヨコマメ新品種「SAATVIK(NC9)」が開発され、承認を受けた。また、ゲノム編集技術を用い、インドの人気品種である「MTU-1010」を遺伝的背景に持ち、親系統よりも高い収量を持つイネ品種の開発も進められている。さらに、イネやヒヨコマメの品種識別や遺伝的純度の評価に役立つ「90K汎ゲノムSNPジェノタイピングアレイ」が開発され、DNA解析技術の活用が広がっている。
干ばつ耐性を持つ高収量ヒヨコマメ新品種「SAATVIK(NC9)」
病害対策では、トマトやブドウのうどんこ病に対する環境に優しい生物防除剤となる真菌酵素ナノ製剤が開発されている。また、農薬の影響から農業従事者を守る防護スーツ「Kisan-Kavach」も導入され、安全性向上に貢献している。
農薬の影響から農業従事者を守る防護スーツ「Kisan-Kavach」
畜産分野では、複数の獣医学技術が開発されている。新しく開発された技術にはmRNAワクチン・プラットフォーム技術や、CRISPR/Casベースのアッセイプラットフォーム、現場で利用可能な低コストの検査方法が含まれる。乳牛の妊娠診断のための尿ベースの新しい技術も開発されている。
水産養殖分野では、エビの飼料として重要な魚粉に変わる低コストで持続可能な代替原料の開発が進んでいる。大豆粕をイースト菌で発酵させることで栄養価が向上し、魚粉に代わる原料としての可能性が示された。発酵処理により、エビの成長率が約8.5%向上することが確認されている。また、魚の産卵時の死亡を防ぐワクチンも開発され、養殖資源の健康確保に貢献している。さらに、栄養価の高い魚用飼料を配合できるソフトウェア「インタラクティブ・フィッシュ・フィード・デザイナー(IFFD)」が開発され費用対効果の高い資料配合が可能となった。
(出典:いずれもPIB)
農業、水産養殖、畜産科学におけるバイオテクノロジーの進展は、生産性向上と持続可能な食糧供給を促進し、今後ますますその重要性が高まるだろう。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部