インド工科大学マドラス校(IIT-M)は4月7日、IIT-Mの研究者らが、既存のインフラへの依存を最小限に抑え、あらゆる照明条件や環境条件下でマップを生成できる革新的なリアルタイム屋内マッピング技術を開発したと発表した。
この技術は、公共安全上の緊急事態が発生した際、従来のインフラにアクセスできなくなり、信頼性が低下する可能性があるため、災害救援活動の初期対応において重要である。UbiqMapと呼ばれるこの軽量化された技術は、電波トモグラフィイメージング(RTI)法の技術を用いて、屋内環境の詳細なマップを作成する。RTIシステムはこれまで、固定された既知の場所に設置されたワイヤレストランシーバーのネットワークに依存していた。RTIは、トランシーバーが通信する際、構造物に遮られると無線信号の強度が弱まり、その信号強度を解析することで、構造物のレイアウトやフロアマップを構築する。
一方、UbiqMapはRTIが利用していた既存のインフラの利用を排除し、ダイナミックで携帯可能なアプローチを導入している。ここでは、ウェアラブルトランシーバーを着用したレスキュー隊が移動すると、デバイスが自動的に位置を特定し、フロアマップを更新し、リアルタイムのレイアウトを提供する。長期的な視点において、UbiqMapはスマートシティや自律システムの基盤技術になる可能性を秘めており、複雑な屋内環境での高度なマッピング操作を可能にする。
研究チームを主導したIIT-Mのコンピュータ科学工学科の助教授であるアヨン・チャクラボルティ(Ayon Chakraborty)氏はこの技術について、「公共の安全に関わる捜索救助活動では、しばしば正確で最新の建物図面がないため、その活動が妨げられています。また、地図の利用が可能な場合においても、災害時の効果的なミッション計画に不可欠なリアルタイムの状況把握をできないことが一般的です。私たちの開発した技術は、人間の視線や大規模な計算資源に依存することなく、屋内環境を画像化する堅牢で携帯可能なツールを提供し、複雑で時間が極めて重要な場面において貴重な資産になります」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部