2025年06月
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ソーラーマルチエフェクト海水淡水化システムの開発 インド工科大学マドラス校

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は5月7日、IIT-Mの研究者らが、太陽エネルギーを利用して海水から飲用水を製造する独立型のソーラーマルチエフェクト海水淡水化(MED)システムを開発したと発表した。研究成果は学術誌Solar EnergySolar Compassに掲載された。

開発されたソーラーMEDシステムは、フラッシュチャンバー、マルチエフェクトエバポレーター、コンデンサー、エジェクター、ソーラーサーマルシステム、ポンプ、太陽光発電システム、海水取水システムなどで構成されている。IIT-M機械工学科冷凍空調研究室のマニ・A(Mani A)教授とティラガン・K(Thilagan K)氏は、インドのカニャクマリにあるビビカナンダ・ケンドラに面したマンナール湾で海水を汲み上げ、ソーラーMEDシステムの開発・試験を行った。

研究者らは2019年3月、ソーラーMEDシステムの性能試験を実施した。ソーラーMEDシステムは1カ月間で、7000Lの蒸留水を生産した。蓄熱システムとバッテリーを適切に組み合わせることで、ソーラーMEDプラントは24時間稼働させることができ、高い生産率を実現することができた。

スペインのタラゴナにあるロビライビルジリ大学機械工学科のアルベルト・コロナス・サルセド(Alberto Coronas Salcedo)教授は、著者らの研究を称賛し、次のようにコメントした。

「開発されたソーラーMEDシステムは、再生可能エネルギーを活用した持続可能な飲用水製造の有望な解決策を示しています。平板太陽熱集熱器の年間平均効率は30%であり、MEDシステムは1.13 m3/hで飲用水を生成し、その水質は1~3 ppmです。エバポレーターの真空圧力を維持するためにエジェクターを統合したことは、実用的な設計上の選択です。しかしながら、熱効率を最適化し、エジェクターの性能を向上させ、塩害環境下でのシステム耐久性の向上は、長期的な運用に有益です。これらに加えて、24時間運転のための蓄熱システムとバッテリーの統合は、オフグリッドアプリケーションにおける潜在性を強化します。わずかな改良を加えることで、このシステムは遠隔地の水不足問題の解決に大きな可能性を秘めています」

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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