2025年06月
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インド熱帯気象研究所、世界初の国産高解像度「バーラト予報システム」を開発

インド地球科学省(MoES)は5月26日、インド熱帯気象研究所(IITM)が開発した世界初の国産高解像度天気予報システムであるバーラト予報システム(Bharat Forecast System)を発表した。

(出典:PIB)

バーラト予報システムは、天気予報の解像度を、従来の12kmから6kmへと大幅に向上させたもので、インド全土の村ごとに精密な地域別予報を提供できるようになる。この飛躍的な進歩はインド政府が推進する「自立したインド(Atmanirbhar Bharat)」および「メイク・イン・インディア」イニシアチブにおける重要なマイルストーンとなる。

ジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は「この自国発の画期的な成果により、インドは気象予報における世界のリーダーの地位を確立しました。これは、世界第4位の経済大国としてのインドの台頭を証明するものであり、最先端かつ自立的な科学的ソリューションを開発する能力を示すものであり、国の新たな栄誉となるものです」と述べた。このシステムは、農業分野など伝統的な産業にも応用が期待されており、極端気象の予測精度が最大64%改善したことで、作物被害の軽減にも寄与する見込みだ。また、システムの開発は4人の女性科学者が主導しており、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が掲げる「ナリ・シャクティ(Nari Shakti:女性の力)」の理念を象徴する事例でもある。

同科学技術相は、農業、宇宙、運輸を含む20以上の省庁が気象サービスに依存していることを踏まえ、MoESとインド気象局(IMD)が生活とビジネスの利便性向上に果たす役割と、国民と農家の両方が情報に基づいた意思決定をできるようラストマイルまで予報を提供するという政府のコミットメントを強調した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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