2025年07月
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太陽エネルギーを使用してグリーン水素を生産する次世代デバイス開発 インド

インド科学技術省(MoST)は6月20日、科学技術庁(DST)傘下のナノ・ソフトマター・サイエンスセンター(CeNS)の研究者らが、太陽エネルギーを使用して水分子を分解し、グリーン水素を生産する次世代デバイスを開発したと発表した。研究成果は学術誌Journal of Materials Chemistry Aに掲載された。

グリーン水素は、産業の脱炭素化、車両の動力源、再生可能エネルギーの貯蔵に利用できるクリーンな燃料の1つである。しかしながら、低コストで拡張性のあるグリーン水素の生産方法は、これまでとらえどころのない状態であった。

アシュトシュ・K・シン(Ashutosh K. Singh)博士率いる研究チームは、n型TiO2や不純物のないSi、p型NiOの半導体層が積層されたn-i-pヘテロ接合構造を使用して、最先端のSiベースの光アノードを設計し、電荷の分離と輸送効率を向上させた。

これらの材料は、拡張性があり精度と効率が確保されたマグネトロンスパッタリングを使って堆積させた。この工学的アプローチは、光の吸収性の向上や電荷輸送の高速化、組換え損失の低減を可能とし、太陽光から水素への効率的な変換の重要な要素となる。

新しいデバイスは、高効率、低エネルギー入力、堅牢な耐久性、費用対効果の高い材料など、いくつかの点で優れている。さらに、25 cm2の大きさの光アノードで優れた水分解の性能を示し、サイズ面からも成功を収めた。

研究者らはこの研究がまだ始まりに過ぎないと考えている。この技術は、さらなる開発により、家庭から工場まで水素ベースのエネルギーシステムに太陽を動力源として生産される水素を供給できると期待される。

同博士は、「材料を選択し、それらをヘテロ構造に組み合わせることで、性能を向上させるだけでなく、大規模に製造できるデバイスを作成しました。これによって、手頃な価格で大規模に太陽光由来の水素を生産することができるエネルギーシステムが近づいてきました」と述べた。

Schematic illustration of the n-i-p heterojunction photoanode showing charge transfer pathways for efficient solar water splitting. Inset images highlight the large-area photoanode (25 cm2) generating hydrogen under solar energy and its surface photovoltage response demonstrating strong photo-electrocatalytic activity and scalability.
(出典:PIB)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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