2025年08月
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太陽光と水から直接過酸化水素を合成する光触媒技術を開発 インド

インド科学技術省(MoST)は7月17日、科学技術庁(DST)傘下のS.N.ボーズ国立基礎科学センター(SNBNCBS)の研究者らが、最先端材料であるMo-DHTA COFと太陽光と水のみを用いて強力な酸化剤である過酸化水素(H2O2)を合成する新たな手法を開発したと発表した。研究成果は学術誌Smallに掲載された。

本技術は、過酸化水素のグリーンな製造法として期待されており、医薬品、消毒、水処理、燃料電池といった分野での応用が見込まれる。従来のH2O2製造法はエネルギー集約的で環境負荷も高いが、今回開発されたMo-DHTA COFを用いた手法では、水と太陽光によりH2O2を生成することができる。

図1. M-COFを用いた光触媒による過酸化水素の生成とその多様な応用
(出典:PIB)

Mo-DHTA COFは、ジモリブデンを含むパドルホイール型の金属ユニットと芳香族有機誘導体を組み合わせた共有結合性有機構造体(COF)である。高い表面積、調整可能な多孔性、狭いバンドギャップ、光安定性といったCOFの利点に加え、金属中心を導入することで触媒活性、電荷分離効率、光触媒性能が向上した。

この材料はエタノール、ベンジルアルコール、水といった各種溶媒中で優れた光触媒性能を発揮し、構造の安定性と再利用性にも優れている。研究チームは今後、他の金属フレームワークの導入や構造の最適化を通じて、より高効率で産業応用可能な光触媒技術の確立を目指す。

今回の成果は、光触媒技術における大きな飛躍となる。環境に優しい条件下で太陽光と水を利用する本技術は、従来の方法に代わる有望な代替手段となる。本技術のスケールアップは、過酸化水素だけでなく、さまざまなグリーンケミカルの製造方法を変える可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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