インド理科大学院(IISc)は7月17日、インド宇宙科学技術研究所(IIST)の天文学者らが率いる国際研究チームが、巨大な原始星IRAS 18162-2048からの円偏光を初めて検出し、その近傍の磁場強度を推定したと発表した。研究成果は学術誌The Astrophysical Journal Lettersに掲載された。
観測対象となったIRAS 18162-2048は、天の川銀河内で最大級の原始星ジェットHH80-81を駆動する大質量原始星である。形成初期の恒星である原始星は、周囲からガスや塵を取り込みつつ、双極ジェットと呼ばれる高速のガス流を放出する。このようなジェットの形成には磁場と自転が関与していると考えられているが、これまで大質量原始星から直接磁場の証拠を捉えることは困難だった。
本研究では、アメリカ国立電波天文台(NRAO)の超大型干渉電波望遠鏡(VLA)を用いて、円偏光と呼ばれる特殊な電波放射を検出した。これにより、円偏光から大質量原始星の周囲の磁場強度を初めて推定することに成功した。観測データに基づき、原始星近傍の磁場強度は20~35ガウスと推定され、これは地球磁場の約100倍に相当する。
本研究から、巨大原始星からの円偏光を初めて検出することに成功、大質量原始星近傍の磁場を推定、低質量星からブラックホールに至るまでの普遍的なジェット噴射メカニズムの理論を裏付ける発見、という3つの重要な結果を得た。
本研究に対して、IIScのサミール・マンダル(Samir Mandal)教授は「高密度のガスと塵に埋もれた巨大な原始星の環境で円偏光を観測するのはさらに困難であり、今回の成果は非常に注目に値します」と評価している。
今回の研究は、IIST、IISc、メキシコ国立自治大学(UNAM)の電波天文学・天体物理学研究所(IRyA)およびアルゼンチンのコルドバ国立大学(UNC)の天文学天文学実験研究所(IATE)などとの国際共同チームによって行われた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部