2025年10月
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1枚の炭素原子シートのグラフェンから電子の量子流体を検出 インド理科大学院

インド理科大学院(IISc)は9月1日、IISc物理学部の研究者らが日本の物質・材料研究機構(NIMS)の研究者らと共同で、1枚の炭素原子シートからなるグラフェンから電子の量子流体を検出したと発表した。研究成果は学術誌Nature Physicsに掲載された。

電子は、量子数によって電気的特性が記述される完璧で摩擦のない流体のように振る舞うことができるのか?この電子のユニークな特性は、材料に原子欠陥や不純物などがあるため、これまで検出することが難しかった。

研究チームは、極めて純度の高いグラフェンのサンプルを作製し、これらの材料が電気と熱を同時に伝導する様子を追跡した。驚くべきことに、研究者らは、電気と熱の特性の間に反比例の関係があることを見出した。すなわち、一方の値(電気伝導率)が増加すると、もう一方の値(熱伝導率)が減少し、その逆も同様に起こった。この特異な現象は、電気伝導率と熱伝導率の値は正比例する必要があるという金属の教科書の原則であるウィーデマン-フランツの法則の破れにより生じる。

研究チームは、低温下のグラフェンのサンプルで、この法則から200倍以上のずれを観察し、電荷と熱伝導のメカニズムの分離を実証した。しかしこのデカップリングは偶然の現象ではなく、電荷と熱伝導はどちらも、電子の動きに関連する基本値の伝導度量子に等しく、物質によらない普遍定数に依存していることが分かった。

この特異な挙動は、グラフェンが金属でも絶縁体でもない、物質内の電子数を微調整することで到達する電子的転換点であるディラック点で現れた。この状態では電子は個々の粒子として振る舞うのを止め、液体のように集団で移動し、その粘度は100分の1に低下した。今回発表された成果は、グラフェンの量子領域への新たな窓を開くとともに、これまで見られなかった量子現象を探求するユニークな卓上実験室として確立するものである。

この研究の責任著者の1人であるIISc物理学部のアリンダム・ゴーシュ(Arindam Ghosh)教授は、「発見から20年経った今でも、グラフェンの単層でやるべきことがたくさんあるのは驚くべきことです」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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