2025年10月
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スマホ撮影の写真をAIで解析、炎症性関節炎を早期診断 インド

インドのキング・エドワード記念病院とインド科学教育研究大学(IISER)は、スマートフォンで撮影した手の写真を人工知能(AI)で解析し、炎症性関節炎を早期に診断できる可能性を示したと発表した。科学誌nature indiaが9月10日に伝えた。研究成果は学術誌Rheumatologyに掲載された。

研究チームは、AI技術の一つであるコンピュータービジョンを用いて、手の関節に現れる炎症の微細な兆候を検出する方法を開発した。この手法により、炎症性関節炎の患者と健康な個人を区別できることが確認された。関節リウマチなどの炎症性関節疾患は、早期に診断し治療につなげることで、長期的な関節損傷を防ぐことができるとされる。

研究では、影や背景色の影響を受けない環境でスマートフォンを用いて患者の手を撮影し、初期の炎症性関節炎患者と健常者の写真データセットを収集した。その後、事前学習済みのAIモデルを微調整し、関節の腫れや炎症の視覚的特徴を認識できるようにした。

研究者によると、モデルは関節炎の兆候として知られる腫れ、輪郭の変化、罹患部周辺の皮膚の微妙な色調の違いなどを捉えたと考えられる。これらの特徴はリウマチ専門医が診察時に注視するものでもあり、AIが医師の診断を補完する可能性が示された。

今後、多様な集団で検証が進めば、この技術は炎症性関節炎の診断時間を短縮し、より効率的な医療提供につながることが期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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