2025年10月
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3層ヘテロ構造で人工2次元電子ガス実証、非線形量子輸送を観測 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は9月24日、シリコン(Si)・シリコン酸化物(SiOx)・酸化亜鉛(ZnO)の3層から成る(001)Si/SiOx/ZnOヘテロ構造で、第2高調波電圧における非線形ホール効果(NLHE)と非相反電荷輸送(NCT)を観測し、界面に2次元電子ガス(2DEG)が形成されることを確認したと発表した。

研究チームは、Si/SiOx/ZnOの3層構造を作製し、界面で2DEGが生じることを実験的に示した。第2高調波成分の計測によりNLHEとNCTの同時観測に成功し、これが2DEG形成の指標となることを報告している。NLHEは磁場がなくても印加電流の2乗に応じた横方向電圧が生じる現象であり、NCTは電気伝導が進行方向によって非対称になる特性である。

ホール効果には通常(OHE)、異常(AHE)、量子(QHE)などがあり、本研究リリースではQHEについても言及されている。さらに、NLHEでは交流印加時に第2高調波として信号が現れる点が示されている。

著者には、IIT-M物理学科ナノスケール物理学研究室のサティヤシバン・ダシュ(Satyasiban Dash)氏とプラハラド・パダン(Prahallad Padhan)教授が名を連ねる。シンガポール国立大学(NUS)のヤン・ヒョンス(Yang Hyunsoo)教授は、本研究について次のように述べている。「本研究は、酸化物-半導体界面における非線形量子輸送の理解に貢献します。著者らはSi-SiOx-ZnO界面に形成された人工2次元電子ガスにおけるNLHEとNCTを実証し、従来の結晶を超えてNLHE材料の可能性を広げました。シリコン互換性のある酸化物系を用い、室温付近でこれらの効果を観測した点は、高周波電子応用への統合可能性を示します」

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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