インド理科大学院(IISc)はDelta Electronics India社と共同で、電気自動車(EV)の急速充電におけるインフラコストを大幅に削減できる新しいマルチポート電力コンバータを開発したと発表した。科学誌nature indiaが9月30日に伝えた。
本研究で開発されたカスケードHブリッジ(CHB)ベースのマルチポートDCコンバータは、中電圧グリッドに直接接続し、複数の充電ポートで高速充電を実現する技術である。従来の充電ステーションでは大型の変圧器や複雑なバッテリーバンクが必要だったが、このコンバータではモジュール間トランスを用いてポート間で電力を共有し、バッテリーストレージが不要となる。研究チームはまず理論的な400kW規模の充電ステーションを設計し、その知見をもとに1.2kWの実験室用プロトタイプを試作した。試験の結果、効率95%以上を達成した。
IIScのカウシク・バス(Kaushik Basu)氏は「メガワット級スケールではエネルギー消費を削減できるだけでなく、コストと材料使用量も大幅に減らせます。この技術は環境に優しい充電ステーションの実現につながります」と述べた。この技術は、太陽光発電と連携したインテリジェント充電ハブの構築を可能にし、余剰電力の地域蓄電や、緊急時に病院などの施設への電力供給を行うこともできる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部