2025年11月
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人間中心のAIガバナンスに向け5原則を提示 インド

インド通信省は10月9日、ニューデリーで開催されたインド・モバイル・コングレス2025併催の国際AIサミットで、ペンマサニ・チャンドラ・セカール(Pemmasani Chandra Sekhar)通信・農村開発担当国務相が講演し、AI(人工知能)の責任ある活用を訴え、人間中心のAIガバナンスに向けた5つの原則を示したと発表した。

(出典:PIB)

同国務相はまず、インドのイノベーションの目的は人々の生活を変革することであると述べ、統一決済インターフェース(UPI)がシームレスな決済を普及させ、オープンネットワーク・フォー・デジタルコマース(ONDC)が中小事業者に電子商取引の機会を提供してきたことを紹介。また、AIを活用した警報システムが2024年のケーララ州洪水で50万人以上の命を救ったことにも言及し、「AIは国民を守り、力を与えるものである」と強調した。

さらに、電気通信局が導入したAI駆動型の詐欺リスク指標によって480万件の詐欺が阻止され、14億ルピーの損失が防がれたことを説明。一方で、ディープフェイクの拡散やAIの偏見による不公平な扱いの問題にも警鐘を鳴らした。2024年の選挙期間中には50本以上の偽動画が拡散し、誤情報が広まったこと、またAI採用ツールが女性の採用を40%減らし、融資アルゴリズムが地方からの応募者を不当に拒否するなどの事例を挙げた。

AIによる自動化が2030年までにITおよび製造業の15~30%の雇用を置き換える可能性があることや、顔認識システムの誤認率が少数民族で最大80%に達すること、医療分野ではウッタル・プラデーシュ州で結核症例の20%が誤診されたことなどを示し、「透明性と説明責任を欠いた技術は社会的信頼を損なう」と同国務相は述べた。

そのうえで、責任あるAIガバナンスの確立に向け、5つの原則を提唱した。

  • 公平性のある監査の義務化と多様なデータ活用による偏見の是正
  • IndiaAI FutureSkillsを通じた再教育による雇用の保護
  • 強固なデータ保護法とフェデレーテッドラーニングモデルの推進によるプライバシー保護
  • 医療・金融・司法分野における説明可能なAI導入の義務化
  • インドの価値観に基づき国際基準と整合する倫理的統治の推進

最後に同国務相は、「政府、産業界、市民が連携し、信頼できるAIをともに築いていかなければならない」と結んだ。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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