2025年11月
トップ  > インド科学技術ニュース> 2025年11月

国内初の抗生物質「ナフィスロマイシン」を開発 インド

インド科学技術省(MoST)は10月18日、バイオテクノロジー庁(DBT)と民間製薬会社ウォックハルト(Wockhardt)社の共同研究により、耐性呼吸器感染症に効果を示す国内初の抗生物質「ナフィスロマイシン」を開発したと発表した。

(出典:PIB)

今回開発されたのはがん患者やコントロール不良の糖尿病患者にも有効な抗生物質である。ナフィスロマイシンは、インドで構想から臨床的検証までを独自に実施した初の分子であり、製薬分野の自立に向けた大きな一歩と位置づけられている。

MoSTのジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は、デリーで開催された「マルチオミクスデータの統合と分析のための人工知能(AI)活用」に関する3日間の医療ワークショップで、この成果を産学連携の成功例と位置づけた上で、政府資金への依存を減らし、民間や慈善団体の参加による自立的なイノベーションエコシステムの構築が必要だと強調した。

さらに同相は、政府と非政府機関の協力によるもう一つの成果として、血友病治療の国内初の遺伝子治療臨床試験の成功を挙げた。この試験はDBTの支援を受け、クリスチャン・メディカル・カレッジ・ヴェルールで実施され、出血エピソードゼロで60~70%の修正率を記録した。研究成果は学術誌New England Journal of Medicineに掲載された。

同相はまた、アヌサンダン国家研究基金(ANRF)の設立を、自立型研究体制への重要な一歩と説明した。ANRFは今後5年間で総額5000億ルピーを投じ、そのうち3600億ルピーを非政府資金で賄う計画であり、学界と産業界の連携強化を目指している。

さらに同相は、AIが医療アクセスや行政効率を変革する重要技術であると述べ、地方で稼働中のAI活用型移動診療所や、行政改革・公的苦情処理局(DARPG)のAI駆動型苦情処理システムを紹介した。このシステムは週あたり97~98%の処理率を達成しているという。

同相は、「インドはバイオテクノロジー、AI、ゲノム医療において自立の新たな時代を迎えています。イノベーション、協働、そして思いやりの融合こそが、我が国の科学技術分野における世界的なリーダーシップ確立の鍵になるでしょう」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る