2025年11月
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漁業廃棄物から再生ナイロンを製造するプロセスを開発 インド理科大学院

インド理科大学院(IISc)は10月22日、漁網や自動車部品などの廃棄プラスチックから短時間で再生可能なナイロン素材を製造する新たな化学プロセスを開発したと発表した。研究成果は学術誌Chemical Engineering Journalに掲載された。

IISc材料工学科(MatE)の研究チームは、再処理が難しいポリアミド66(PA-66、ナイロン66)のリサイクルに焦点を当てた。PA-66は耐久性に優れる一方、再利用が困難で環境負荷が高い素材として知られている。

チームは、PA-66を含む溶融廃棄物に化学架橋剤メラミンを加え、触媒の存在下で反応させる「アミド基転移反応(トランスアミデーション)」を用いた。この反応は2分以内に完了し、産業用押出機でも処理できる速度を実現した。筆頭著者のS・ヴィマル・クマール氏は「この方法は高スループットな工業プロセスに適しており、反応時間を大幅に短縮できる」と説明している。

生成されたナイロンは高い強度を保ち、3回の再処理後も特性が損なわれなかった。責任著者のスリヤサラティ・ボーズ(Suryasarathi Bose)教授は「麺を想像してみてください。断片化した麺を再びつなぎ合わせ、より優れた特性をもつ麺として再構築するようなものです」と述べる。再生ナイロンは、公園ベンチや舗装タイルなど剛性を必要とする製品への応用が期待されている。

同教授は、リサイクル素材を用いた製品設計を行うスタートアップ企業VOiLA3Dの共同創業者でもある。今回のプロセスで再生したPA-66を用い、椅子やスピードボートなどの3Dプリント製品の試作にも成功した。

国連環境計画によると、世界では年間4億3000万tを超えるプラスチックが生産されている。漁業廃棄物は海洋生物に深刻な影響を与える要因とされ、今回の研究はその削減に大きく貢献する技術であると考えられている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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