2025年11月
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インドの熱波で屋外労働者に深刻な経済的影響明らかに

インドで進行する熱波が屋外労働者に深刻な経済的影響を及ぼし、非正規雇用の労働者が正規雇用者より17倍も高い確率で生産性低下を経験するとともに、大きな経済的損失にもつながることが研究により明らかになった。科学誌nature indiaが10月25日に伝えた。

2024年、インドは2010年以来最長の熱波に見舞われ、全国で約4万4000件の熱中症が発生した。インドのエネルギー・環境・水協議会(CEEW)によると、多くの地域で日中40℃を超える猛暑が1か月以上続き、世界気象機関(WMO)は同年を観測史上最も暑い年と宣言した。

インドのスリラマチャンドラ高等教育研究所(SRIHER)の環境衛生科学者タニヤ・アイザック(Tanya Isaac)氏が行った研究では、労働者3000人を調査し、2735人が暑さによる作業効率の低下を訴えた。さらに、農業、建設、漁業、塩田などで働く1452人の屋外労働者を対象とした研究では、気温32℃超かつ湿度60%超の環境では危険な状態になることも発見した。また、女性労働者は尿路感染症リスクを減らすよう頻繁なトイレ使用を避けるため、水分摂取を控える傾向があり、脱水による影響を受けやすいと指摘された。論文の共著者のレカ・シャンムガム(Rekha Shanmugam)氏は「過度の発汗や睡眠不足も生産性を直接低下させる」と述べている。

経済面では、経済学者サウダミニ・ダス(Saudamini Das)氏とE・ソマナサン(E. Somanathan)氏が、デリーで洗濯業者、建設労働者、人力車の運転手、食品販売員、露天商を行う非正規労働者約400人を対象にした調査で、平均気温が1℃上昇すると収入が16%減少することを示した。労働者は平均268ルピーの収入から100ルピー以上を失い、2度の熱波期間中は他の日と比較して収入が40%減少したことが分かった。

CEEWのヴィシュワス・チタレ(Vishwas Chitale)氏は、熱中症リスクは気温と湿度、曝露人口、社会的脆弱性の3要因が重なって発生するとし、「熱中症リスクと脆弱性の評価が不足しているため、当局は優先的なホットスポットを特定し、最も必要な場所に財源を配分することができません。包括的な熱中症リスク評価は、効果的な解決策を実施できるようにするためにも不可欠です」と強調した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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