2025年12月
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マラリア薬併用で白血病細胞を死滅、代謝経路を標的に インド

インドのクリスチャン・メディカル・カレッジ(CMC)は11月12日、研究者らが急性骨髄性白血病(AML)のミトコンドリア呼吸に依存する代謝経路を標的とする新たな治療アプローチを明らかにしたと発表した。科学誌nature indiaが11月12日に伝えた。研究成果は学術誌Cell Death & Diseaseに掲載された。

AML細胞、とくに治療抵抗性の白血病幹細胞は、生存のためミトコンドリア呼吸(OXPHOS)に大きく依存しているとされる。研究チームは、抗マラリア薬アルテスネート(ART)と三酸化ヒ素(ATO)の併用が、このエネルギー経路を選択的に阻害し、白血病細胞を死滅させることを示した。健康な造血幹細胞は影響を受けにくいという。

試験管内およびマウスモデルを用いた実験では、この併用によりミトコンドリア損傷、ATP枯渇、酸化ストレスの誘導が確認され、内因性アポトーシスが活性化されることが明らかになった。

プロテオーム解析とメタボローム解析の結果、ARTは脂肪酸代謝に必要な極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)を直接阻害することが分かった。ATOは細胞内で鉄の利用を高め、ARTのエンドペルオキシド基を活性化する役割を果たす。これらの作用が組み合わさることで代謝バランスが崩れ、細胞死につながるとされる。

さらに、この併用療法はベネトクラックス耐性AML細胞にも有効であることが示され、治療抵抗性への対応手段となる可能性が示された。研究チームは、ARTを従来の化学療法やベネトクラックスを基盤とする治療と組み合わせることで、より安全かつ効果的な治療につながる可能性を示している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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